患者さんの情報広場 治療体験記

新しい治療の光明で気合全開 〜福岡県 Kさん(55歳)

 しゃきしゃきとした動き。元気いっぱいの笑顔。ボーイッシュなショートヘア。小柄な身体から、エネルギーが溢れて出ているのが見えるようなKさんです。2005年にご主人を亡くされ、また同居中だった息子さん(次男)が昨年12月に結婚で独立されて、現在は一人暮らし。お子さんは2人。お2人とも、そう遠くない距離にお住まいです。


偶然の発見

 50歳まで、半導体の検査をする仕事をしていたので、毎年、会社で定期健診を受けていました。10年ほど前の健康診断で、胃に影があるというので、再検査になりました。それで、胃カメラの前に血液検査をしたのですが、その時に肝臓の異常が発見されて。そこでC型肝炎であることがわかったわけです。びっくりしました。それまでの定期健診でも、その時の健診の結果でも、肝機能の数値には異常がなかったのにですよ。その頃はまだC型肝炎の検診はありませんでしたから、胃で引っかからなかったら、きっと気がつかないままだったでしょうね。結局、胃の方は何ともなかったのですが(笑)。
 考えられる感染源は、現在31歳の次男を出産した時にした輸血。それ以外は思い当たる原因はありません。身体も何ともなくて、そんな病気になっているなんて、全く想像もしていませんでした。

ウイルス量が多いタイプで、治療を断念

 C型肝炎と診断された時は、ウイルスの量がものすごく多くて、当時のインターフェロン治療では効果が期待できないので、「新しい治療法が開発されているから、しばらく様子を見ましょう」ということで、月に一度血液検査を、3か月に1度エコー(超音波)検査をしていました。薬による治療などは、全くしませんでした。
 「自分はC型肝炎だ」ということがいつも頭のどこかにあるので、それまでと同じ暮らしというわけにはいきませんでしたね。メディアが伝えるのは、悪い情報ばかり。しゅんとするような情報しか入って来ないでしょう? でも、落ち込んでいたら、病気が寄ってくる、だから病気とは共存していこうと思いました。「病気だから、ああしなくちゃいけない、こうしなくちゃいけない」と思うと、ストレスになりますからね。幸い、自覚症状が何もなく、疲れやすいというようなこともなかったので、普通に生活していました。時々は、頭の中からも病気のことは飛んでいってしまっていましたよ(笑)。
 よいと聞いたサプリメントを試したこともありましたが、数値は全然変わらないし、高価だし…「やめたっ!」と思って、ヘタな民間療法はせず、先生の指示を待つことにしました。ウイルスの量は、増えることもないけれど減ることもない、という感じでした。年齢的に肝臓に脂肪がつきやすいということはありましたが、肝機能の数値はよくて、変化もあまりありませんでした。ただウイルスの量を見ながら、治療の時期を待っていた、という感じです。

「ピカッ!」っと、光が!

 いずれウイルス量の値が良くなったら、インターフェロン治療をしようとは思っていました。実は、十数年前、主人が入院していた時、隣のベッドにいた方がインターフェロン治療をなさっていて、それはもうつらそうだったのを見たことがありました。副作用で食欲は全くなくて、吐き気や震えもひどかった。その状態を見て、主人が「あれだけはするもんじゃない」って。私も、「男性でもああなんだから、私は嫌だな、やりたくないな」と思っていました。
 そうしたら、先生が「ウイルス量の多い人にも有効な新薬ができたんですよ」と教えてくださって。それを聞いたとき、頭の中に「ピカッ!」と光が見えましたね。「それなら挑戦してみよう」という気持ちが湧いてきて、治療の時期が来るのを心待ちにするようになりました。市内で先生の講演会が開かれていたので、それも聞きに行きました。それまでも、説明用の冊子などをたくさんいただいていましたし、本も読みましたが、やはり自分で読んだだけでは、全部理解できるということはなかったので、先生の話を直に聞いて説明してもらったのは、すごくよかったですね。
 治療の開始を2006年の3月に決めて、それまでに少しずついろいろな検査を済ませて準備をしました。「よおし、闘うぞ!」という気合もだんだん入ってきましたね。治療中の時間をゆったりした気持ちで過ごそうと思って、サークルに入って水彩画を始めました。
 副作用についての説明も受けました。髪がごっそり抜けた知人もいたので、ウィッグ(かつら)を買って準備しました。抑うつになった知人もいましたし、主人の入院中に見たあの患者さんの印象のこともありますから、不安がないと言ったら嘘になりますけれども、前年の8月に主人を肝がんで亡くしたことも、治療に向かう力の1つになっていました。健康に関して疑わしいものは、積極的に1つ1つ消していこう、と思ったんです。

気合まんまん!治療の開始

 3月14日に注射を打ち始めて、3回目の注射が終わるまで入院しました。2週間の入院、というお話だったのですが、ちょうど月の区切りだったもので、私の方で3週間にしてもらいました。
 最初の注射の頃、少し熱が出ましたが、最高で37.2℃くらいでした。熱に弱いこともあって、「いつ出るんだろう、いつ出るんだろう」と構えて待っていたんですが、なんだか肩透かしでしたね(笑)。通院治療の時も、注射を打った翌日に微熱程度の熱が出ることがありましたが、高熱になることはありませんでした。
 それよりも、飲み薬がのどのところに引っかかっているような気がして、それが最初はたいへんでしたね。胸のところをトントン叩きながら、病院を歩き回ったりしました。それも退院してからは、なんともなくなりましたけれども。
 食欲も全く落ちませんでした。病院の食事はまずいってよく言うでしょう? ところがそれが、美味しくて(笑)。さすがに入院も1週間過ぎると飽きてきて、「犬の様子を見に行きます」と口実をつくって、家に帰ってちょっと食べたりしていましたが(笑)。
 とにかく、あれだけ案じた割には副作用がほとんどなく、「元気な病人」でした。元気すぎてベッドから落ちてしまい、そっちの方で大騒ぎになって恥ずかしい思いをしたくらいで…(笑)。ほっとして、退院しました。
 家に帰ってからは、治療を続けながら普通に生活していました。特別、具合が悪くて休むということはなかったですね。注射の翌日は微熱があってちょっと気分がしずむこともありましたが、3か月を過ぎるとそれもなくなりました。
 治療開始後3か月目くらいから、シャンプーをすると「あら、すごいわ」という感じで髪の毛が抜けるようになりましたが、用意したウィッグが必要になるようなことはありませんでした。治療が終わる頃には、抜け毛も治まっていましたし、今ではほとんど気にならなくなりました。
 12月には、アルバイトもしましたよ。シクラメンの出荷の手伝い。月曜日から木曜日までそこで働いて、金曜日の午前中に病院で注射を打って、午後はサークルで水彩画。集中できるから、よかったですよ。息子の結婚式も治療期間中にあって、それも楽しみで、じゃんじゃん打ち合わせに出かけて一人で準備してしまいました。

3か月でウイルス消失!

 ウイルスは、なんと、6月に入った時には、全部消えていました。ウイルスの量について先生に「私、ものすごく多いんでしょう?」と聞いたら、「うーん。この病院で2番目くらいかな」と。でも、きっと控えめに言われただけで、本当は1番なんじゃないかと疑っていました(笑)。そんなに多かったのに、消えたのはすごく早かった。嬉しかったですねえ。みんなに知らせに行きました!入院中、病棟の看護師さんがとても親身に話を聞いてくださっていたので、病棟に上がって看護師さんたちにも報告に行きました。
 今は、治療しようかどうか悩んでいる人や、治療がつらくてやめることを考えている人、再治療を望んでいる人などにも、「ぜひやってください、私はこんなにウイルス量が多かったのに消えたんですよ、希望を持ってくださいね」と、機会あるごとに言っています。人によって効果や結果はいろいろ違うのでしょうけれど、ぜひチャレンジしてほしいと思いますね。
 病気でいると、情報で心を乱されることが多いでしょう?「しんどい、大変だ、つらい」という人を見ると「自分もあんなふうになるのかな」と思ってしまう。私も、注射を打つ前日は、心が揺れたりしました。人の話を聞きすぎるのは、あんまりよくないですね。気力がないと、負けちゃう。だから、気合入れなくちゃ。
 今は、好きなことたくさんやっています。病気という闘う相手がいなくなって、ちょっと気が抜けてますけど(笑)。でも、家にいることは少ないですよ。これからは、自分の好きなことだけでなく、人のために何かやっていこうかな、と思っているところです。

主治医のコメント

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