監修:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 分院長
熊田 博光 先生
大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授
林 紀夫 先生

C型慢性肝炎を治療しないとどうなりますか?
C型慢性肝炎は大部分が進行性で、知らないうちに肝硬変、肝がんへと進んでいってしまいます。いったん、肝がんになってしまうと、その5年生存率は切除手術をしても50%くらいという恐ろしい病気です。
- 熊田 :この病気は進行性で、仮に100人の人がC型肝炎ウイルスに感染したとすると65〜70人が慢性肝炎になります。いったん慢性化しますと肝臓の病変が軽いままで経過することもありますが、大部分が進行性で、慢性肝炎が続いていると肝硬変、肝がんへと進んでいってしまいます。
C型慢性肝炎の自然経過
治療しないと、10〜30年後に肝硬変、肝臓がんに移行しやすい

肝硬変になるとどうなりますか
- 林 : 長期の肝炎で細胞が壊れ続けると、それを埋める形で肝臓の線維成分が蓄積します。これを線維化といい、線維化が進行して肝臓が硬くなった状態が肝硬変です。肝硬変になると肝がんだけでなく、食道静脈瘤の破裂や肝性脳症など命に関わる重大な合併症が起こりやすくなります。
肝がんについて教えてください
- 熊田 : 日本人の死亡原因の第1位はがん(悪性腫瘍)ですが、なかでも肝がんによる死亡者数は1970年代半ばと比べると約3倍に増えて3万人を超え、肺がん、胃がんに次いでがん死亡の第3位を占めるに至っています。そして肝がんの約80%はC型慢性肝炎が原因であることがわかっています。
現在肝がんの治療法も進歩して5年生存率は50%くらいになっており、今後も早期発見が進むとさらに上昇していくと思いますが、初診時にすでに肝がんが広がっていて、手がつけられないという人が外来患者の2割くらいあるのが現状です。 - 林 : 高齢者における肝がんの増加はおそらく2010〜2015年くらいまで続くのではないかと予測しています。最近の大阪でのC型慢性肝炎による肝がんの死亡率の傾向をみると、65歳以上では依然上昇傾向にありますが、65歳以下ではやや低下しています。ただ、これは肝がんの発生率が低下したのではなく、治療の進歩によって65歳以下で見つかった肝がんの患者さんが最終的に亡くなるのが65歳以上ということだと思います。





