監修:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 分院長
熊田 博光 先生
大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授
林 紀夫 先生

肝炎の進行の度合いはどのように調べますか?
肝硬変と慢性肝炎の判別はAST(GOT)値/ALT(GPT)値の比、血小板や肝予備能などの検査、そして超音波、CT/MRIなどの画像検査によって総合的に判断します。
- 林 : 肝炎がどの程度進んでいるか、肝機能がどのくらい保たれているかを知ることは治療計画を立てるうえで重要です。AST(GOT)値やALT(GPT)値がそれほど高くない場合でも、肝炎が進行している場合があり、血液検査や画像検査などで肝臓の状態を調べます。
肝硬変に進行しているかどうかはどのように診断しますか
- 熊田 : 慢性肝炎と肝硬変は一連の病気で、はっきり分けることはできませんが、判別において最も一般的な点はAST(GOT)値とALT(GPT)値の比をみることです。肝硬変ではALT(GPT)値に比べてAST(GOT)値が高いことが多く、慢性肝炎ではその逆です。血小板が10万/mm3以下の時も肝硬変の可能性が高くなります。ほかにヒアルロン酸検査や色素を注射するICG試験などがありますが、いずれも絶対ではなく、画像診断を含めて総合的に判断しないと、思わぬときにがんが出てしまうことになりかねません。
- 林 : とくに高齢者では血小板数が低いからといって肝硬変とは限りません。プロトロンビン、ヘパプラスチンあるいは血清アルブミンなどの肝予備能から総合的に判断すべきです。
画像診断にはどのようなものがありますか
- 熊田 : いちばん簡便なのが超音波検査ですが、機械がよくなってもやはり見落としがあるので、CTあるいはMRI検査を組み合わせるべきでしょう。しかしこれも肝硬変を確実に診断するものではなく、慢性肝炎と肝硬変の間の病変はすべて肝硬変と考えた方が無難です。
肝炎の進行度合いを調べる検査
血液検査
| 検査項目 | 検査の意義 | 肝硬変の疑い | |
|---|---|---|---|
| AST/ALT比 (GOT/GPT比) |
肝硬変では上昇することが多い。肝炎ではその逆。 | 2.0以上 (肝炎0.6前後) |
|
| 血小板 | 血小板は血液の成分の1つで、肝炎や肝硬変の進行とともに数が減少する。 | 10万/mm3以下 | |
| 肝予備能 | 血清アルブミン | 肝臓で作られる蛋白質。肝障害の進行とともに低下する。 | 3.5g/dL以下 |
| プロトロンビン試験 ヘパプラスチン試験 |
プロトロンビンもヘパプラスチンも肝臓で作られる血液凝固因子。肝臓の障害が進むと低下する。 | 50%以下 | |
| ICG試験 | 肝臓で処理されるICG(インドシアニングリーン)という色素を注射。肝機能が低下していると、処理が遅れ、色素が血液中に滞る。 | 30%以上 | |
画像検査
超音波検査(エコー):障害物に当たるとはね返る超音波のしくみを利用した検査。肝臓の形や内部の変化が観察できます。最近では造影剤を用いてより詳しい検査ができるようになりました。

〔提供 林紀夫(大阪大学大学大学院医学系研究科 消化器内科学)〕
CT(コンピュータ断層撮影)検査:X線とコンピュータを組み合わせた装置で、肝臓を輪切りにした画像が得られます。超音波で観察しにくい部位まではっきりと映し出します。
MRI検査:磁石と電磁波を利用して体の内部を撮影する装置。CTより鮮明で、いろいろな断面で肝臓を見ることができます。


