監修:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 分院長
熊田 博光 先生
大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授
林 紀夫 先生

インターフェロン療法について教えてください。
インターフェロン療法により、患者さんの30%でウイルスの完全消失が認められています。またウイルスの完全消失がみられなくても、肝硬変や肝がんへの進行がくい止められます。またインターフェロン療法を受けた患者さんの約2/3で、生命予後の改善が得られています。そういったことから、C型慢性肝炎の患者さんにはインターフェロン治療を行う意義は十分あると思います。
- 熊田 : インターフェロンが承認されるまでの慢性肝炎の治療は、あくまで進行をできるだけ遅くすることや、進行させないことが目的でしたが、インターフェロンの登場によって慢性肝炎が治る、つまり慢性的な病気が治るようになったわけです。糖尿病や高血圧に良い薬があっても実際に病気が治るわけではありません。ずっと薬を飲み続けて何とか維持していかなくてはなりませんが、インターフェロン療法では慢性肝炎が治り、健康な体になるということですから、これは画期的な治療方法といえます。
肝がんにならないためにインターフェロン療法を行うのは本当ですか
- 林 : 日本でインターフェロン療法が行われるようになって10年以上になりますが、最近いくつかの施設からインターフェロン療法後、どの程度肝がんの発生が抑制できるかのデータが報告されています。これらの成績によると、インターフェロン療法を行った場合、未治療に比べて明らかに肝がん発生率が低くなっています。治療効果別にみても、ウイルスが消失して肝機能が正常化した著効例では、無効例に比べてはるかに肝がんの発生が抑制されています。治療中に肝機能がいったん正常化してその後再燃した例でも、著効例と無効例の中間の発がん率となっています。
- 熊田 : インターフェロン療法には、(1)治ることを前提に投与すること、(2)治療して治りはしないがAST(GOT)値、ALT(GPT)値が落ち着くこと、(3)インターフェロンによる肝臓の線維化改善効果を見込んで、肝がんになるのを5年あるいは10年遅くすることといった3つの目的があると思います。
インターフェロン療法を行うと生命予後にはどのような影響がありますか
- 林 : 私どものところでは、肝がんの発生だけでなく治療後の生命予後をみていますが、インターフェロン療法を行った人では未治療の人に比べて明らかに生存率が高い。治療効果別にみても著効例、再燃例では無効例、未治療例に比べてはるかに生命予後がよいことがわかりました。インターフェロン療法はかつて副作用などいろいろなことが問題になりましたが、振り返ってみると治療を受けた約2/3の患者さんにおいて肝がん発生の抑制あるいは生命予後の改善が得られているわけですから、大きなメリットがあると思います。
インターフェロン治療の有無別累積肝がん発生率
インターフェロン療法を受けた人は未治療の人に比べ肝がん発生率が低い
インターフェロン療法の効果別累積肝がん発生率
インターフェロン治療で著効(ウイルス消失・肝機能正常化)を示した人は無効の人より肝がん発生率が低い。治療後再燃した人(治療中は肝機能正常化)でも無効の人より肝がん発生率は低い
インターフェロン治療の有無別生存率
インターフェロン治療を受けた人は未治療の人に比べその後の生存率が高い





