監修:国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 分院長
熊田 博光 先生
大阪大学大学院医学系研究科 消化器内科学 教授
林 紀夫 先生

肝硬変や肝がんにならないためにはどうすればいいですか?
肝硬変や肝がんへの進行を抑えるためには、まずインターフェロンで慢性肝炎を治してしまうことが第一です。それができなければ、2番目としてAST (GOT)値、ALT(GPT)値をできるだけ低い値に抑える治療を行います。こうした治療によって、大部分の患者さんで、肝硬変や肝がんへの進行をくい止めることができます。
- 熊田 : 慢性肝炎を軽度、中等度、高度と分けて考えますと、慢性肝炎の高度の方ではやはり5年くらいで肝硬変になってしまいます。ただ、慢性肝炎から肝硬変になる方というのは、たいていAST(GOT)値やALT(GPT)値に異常があります。AST(GOT)値 、ALT(GPT)値が50IU/Lとか100IU/Lという数字を示した場合、肝臓の細胞が50万個、100万個とかなりの数が壊れています。つまり、できるだけ壊れないようにしていくことが基本的に大事なのです。そのとき、原因であるウイルスを全部殺して、病気の進行を止めてしまうということが第一に考えられます。
- 林 : ウイルスを殺して、病気の進行を止めてしまう薬剤がインターフェロンという薬剤なのです。この薬が今これだけ世の中で注目されているのもそこに要因があるわけです。
対症療法(肝庇護療法)でも肝がんを防ぐことができますか
- 熊田 : グリチルリチン配合剤を連日注射している人の約80%でAST(GOT)値、ALT(GPT)値が低下してきますが、これをいかに長く持続させるかということが大切です。途中でやめたり、続けていてもAST(GOT)値、ALT(GPT)値が下がらない場合はだめです。私どものデータでは、15年間グリチルリチン配合剤を継続して注射している人は注射していない人に比べて発がん率が約半分に減ります。ただ、この成績はインターフェロンがなかった時代のもので、現在はやはり一定期間投与すればウイルスの排除あるいは肝機能の安定が得られるインターフェロンが第一選択です。しかし、ウイルスが排除できないとしても、できるだけ肝機能を正常に近づけることにより発がんを抑制できることが裏づけられていると思います。
ALT値別累積肝がん発生率
ウイルスが消失しなくてもALT(GPT)を低く保つことで肝がんの発生率は低くなる
肝庇護療法の有無別累積肝がん発生率
肝庇護療法でAST(GOT)、ALT(GPT)を低く保つことでも肝がんの発生は抑制できる




