京都府立医科大学消化器病態制御学教授
(現:大阪府済生会吹田病院 院長)
岡上 武 先生
C型肝炎患者の診断では、肝がんが発生しやすいか否か、抗ウイルス療法(ペグインターフェロン単独療法、ペグインターフェロン/リバビリン併用療法など)が効果的か、またその副作用が出現しやすいかどうか、この3点の評価が重要です。その上で、完治を目指すか、それが難しい場合は発がん抑制を目指すのかを判断します。
ペグインターフェロン/リバビリン併用療法の登場で、これまで治りにくかった遺伝子型1型高ウイルス量症例では5割が、2型では9割近くが完治するまでになりました。ただし、糖尿病や高血圧などの合併症がある人では慎重な治療が必要ですし、副作用にも個人差があるので、治療の前に十分な検査をしなくてはなりません。
1型の場合、48週間の治療が基本。目安としては、4週目までにウイルスが陰性化すれば、ほぼ100%治ります。12週目までだと70〜75%に、24週目まででは40%足らずになります。陰性化の時期が遅くなるほど完治の可能性は低くなるわけですが、48週間の治療で完治しなくても、さらに続けて投与することで治療効果が上がることがわかっています。
ただ、24週目でも陽性の場合、完治の可能性は非常に低くなります。ただし、ウイルスは消えなくても、発がん抑制効果はあるので、投与を続けるか否か検討する価値はあります。
陰性化しない場合に目指すのは発がん抑制ですが、この治療の基本はインターフェロン単独療法です。インターフェロンの長期間投与で、ウイルスがいるにもかかわらず、発がんを抑える効果があることが明らかになっています。また、病気の進行を早める鉄分を取り除くための瀉血(しゃけつ)療法などもあります。
C型肝炎の治療では、いかに安全で確実な治療法を選択するか、それが重要です。
おかのうえ・たけし
69年京都府立医科大学卒。02年同学第三内科教授、03年から同学大学院消化器病態制御学教授。日本肝臓学会理事、日本消化器病学会理事のほか、日本内科学会評議員などを務める。
国立病院機構大阪医療センター消化器科部長
加藤 道夫 先生
日本でみられるC型肝炎は、ウイルスの遺伝子型により1型(1b)と2型(2a、2b)に分類されます。もっとも多いのは1bで約7割、続いて2aが約2割、2bが約1割です。このウイルスの型と量、年齢や肝炎の進行状態によって治療方針が決まります。C型肝がんの発症を防ぐ最良の方法は、ウイルスを排除することであり、それが可能な薬が「インターフェロン」です。
日本人に一番多い1型でウイルス量の多いタイプ(難治性)では、インターフェロンが承認された92年当時はウイルス排除率(ウイルスが排除された人の割合)が10%未満と低値でしたが、インターフェロンに「リバビリン」という内服薬を併用する治療法で約20%に上昇、さらに04年に承認されたインターフェロンの新タイプ「ペグインターフェロン」と「リバビリン」の併用療法では、約50〜60%ものウイルス排除率が得られています(国内臨床試験)。
残る40〜50%の無効例の対策も立てられています。同併用療法は通常48週間治療を行いますが、すでに海外の臨床試験では72週の長期投与で48週より良好な成績が出ています。日本でも長期投与が行われ、同様の結果が出ることが予測されています。また、国内でも新しい治療法の開発が進められており、過去のインターフェロン治療で無効であった人にも効果が期待されています。
その他、現在、世界でさらに効果の高い種々の治療法の開発が進められていますので、あきらめることなく、前向きに抗ウイルス治療を考えていただきたいと思います。
かとう・みちお
76年和歌山県立医科大学卒。国立大阪病院消化器科医長などを経て、04年4月に大阪大学医学部臨床教授、独立行政法人国立病院機構大阪医療センター消化器科医長、同年7月に同センター消化器科部長に就任。

