C型肝炎 News&Topics 講演会・座談会記録集

DDW-Japan 2004 Fukuoka サテライトシンポジウム

C型慢性肝炎における世界標準治療

PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法に関する国内臨床開発試験の成績

対象は難治性のジェノタイプ1かつ高ウイルス量で、投与前のウイルス量が850KIU以上の症例が多くを占める

この臨床試験は、IFNα-2bまたはPEG-IFNα-2bをそれぞれリバビリンと併用し、両併用療法の効果の同等性を比較する無作為化実薬対照・群間比較試験である。治療期間は48週で、治療終了後24週時点のウイルス陰性化率をウイルス学的著効(SVR)率として評価した。対象はジェノタイプ1かつ高ウイルス量(アンプリコアHCVモニター法で100KIU/mL以上)のC型慢性肝炎症例で、年齢が20歳以上、体重が40kg超〜100kg以下、トランスアミナーゼ(ALT)が45IU/L以上の症例であった。IFN投与歴の背景をみると、未治療症例のほか、半数近くはIFN単独療法既治療の再燃症例と前治療無効例が含まれていた。
PEG-IFNα-2bの投与量は体重1kg当たり1.5μgであった。また、リバビリンの投与量は、40kg超〜60kg以下の症例が600mg/日、60kg超〜80kg以下が800mg/日、80kg超〜100kg以下が1,000mg/日であった。血中のヘモグロビン、好中球数、血小板数をモニターし、各値の低下に応じて薬剤を減量、あるいは投与中止する基準を設けた。
解析対象(投与開始症例)は、IFNα-2b+リバビリン併用療法群(以下、IFN/R群)257例、PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法群(以下、PEG/R群)254例であった。服薬遵守率は両群とも98%以上で、両群間で有意差を認めなかった。

再燃例に対して62.6%のSVR率

PEG/R群の投与終了時、すなわち投与48週後のウイルス陰性化率は71.7%で、投与終了後24週時のウイルス陰性化率、すなわちSVR率は47.6%であった(図1)。
IFN治療歴別のSVR率をみると、IFN未治療例のSVR率は43.1%であった。一方、前治療後再燃例のSVR率は62.6%で、PEG/R群でSVR率が高い傾向であった。また、前治療無効例のSVR率は19.2%であった(図2)。
PEG/R群のSVR率をウイルス量別に比較したところ、ウイルス量が500KIU/mL未満だった症例のSVR率は54.7%、500KIU/mL以上850KIU/mL未満で38.0%、850KIU/mL以上で50.0%となっていた。従来、ウイルス量が500KIU/mL以上の症例にIFN単独療法は奏効しないと言われてきたが、ウイルス量が多い症例でもリバビリンとの併用によって高いSVR率が得られ、今回のPEG/R48週併用療法ではさらに高いSVR率が得られることが確認された。
また、肝線維化のステージ別にPEG/R群のSVR率を調べた解析からは、肝線維化が軽度の症例でSVR率が56.1%、中等度の症例で45.9%、高度の症例で32.4%となっていた。肝線維化についても、これまでのIFN単独療法に比較すると高いSVR率が得られたものの、やはり進行するほどIFNが効きにくいとされる知見を裏付ける結果であった。この結果について熊田氏は、「高齢化が進む日本では、やはり肝線維化が進行する前にIFN治療を始めることが望ましい」と指摘した。
さらに、肝炎の活動性(すなわち炎症の程度)のグレード別にPEG/R群のSVR率を調べた解析からは、極軽度の症例のSVR率が41.7%、軽度の症例で59.1%、中等度の症例で44.1%、高度の症例で30.8%となっていた。通常、グレードが高い症例ほどALT値が高く、ALT値が高い症例ほどIFNやPEG-IFNとリバビリンの併用療法が奏効するとされている。しかし、今回の検討ではALT値が高くない症例でも高いSVR率が得られており、この結果を受けて熊田氏は、「リバビリン併用療法はALT値に関係なく行ってもよいのではないか。極端に言えばALTが正常値の症例に行ってもよい結果が得られるのではないか、との感触を得ている」と述べた。

図1:PEG/R群のウイルス陰性化率

(図1)PEG/R群のウイルス陰性化率

図2:治療歴別SVR率

(図2)治療歴別SVR率

体重別用量設定によるメリット

今回用いたPEG-IFNα-2b製剤は、体重1kg当たりの用量を1.5μgと設定しているため、実際の投与量は患者の体重ごとに異なり、体重の重い症例は投与量が多く、体重の軽い症例は投与量が少なくなる。こうすることにより、治療効果や副作用が体重の影響を受けにくいように工夫されている。これに対して、従来の固定用量設定のIFN製剤では、体重の軽い症例には治療効果が期待できるが副作用が発現する可能性も高くなり、体重の重い症例は副作用が少ない傾向にあるかもしれないが、肝心の治療効果があまり期待できない、というジレンマに陥りがちだと熊田氏は指摘する(図3)。
今回の検討ではリバビリンにも体重別の用量設定がなされている。そこで、体重1kg当たりのリバビリン用量別にPEG/R群のSVR率を調べたところ、10〜11mg/kg/日で36.1%、11〜12mg/kg/日で51.6%、12〜13mg/kg/日で54.8%、13〜14mg/kg/日で43.8%となっており、体重当たりのリバビリン量が多いほど効果が高い結果が得られた。なお、投与量が13mg/kg/日を超えるグループでSVR率が低かったのは貧血による副作用での脱落が影響していると考えられ、ヘモグロビン濃度の注意深い観察が重要とされた。

図3:固定用量設定と体重別用量設定における有効性および安全性の関係

(図3)固定用量設定と体重別用量設定における有効性および安全性の関係

治療期間の完遂が最も重要

薬剤の減量あるいは投薬中止が治療効果に及ぼす影響をPEG/R群について解析した結果からは、全症例のSVR率が47.6%であったのに対し、投薬量の減量がなく治療期間を完遂した症例のSVR率は62.5%と高率であることが判明した。一方、PEG-IFNかリバビリンのいずれかを減量した場合でも50%台、両薬をともに減量した場合でも45.7%と、全症例の平均とほぼ同程度の高いSVR率が得られている(図4)。しかし、治療中に投薬を中止した場合のSVR率は19.2%と大きく低下していた。中止症例のSVR率はIFN/R群ではさらに悪く、9.3%にとどまっていたが、この違いはPEG-IFNが作用持続型の製剤であることによると考えられた。
また、PEG/R群において投薬量の減量がなく治療期間が完遂できた症例のSVR率をIFN治療歴別に調べたところ、未治療症例52.4%(22/42)で、前治療後再燃例で84.6%(22/26)もの高い効果が得られ、前治療無効例で25.0%(1/4)であった(図2)。
投与量と投与期間を総合して80%以上の投薬が可能だった症例と80%未満にとどまった症例で治療効果を比較したところ、PEG/R群のSVR率は、80%以上の症例で55.5%だったのに対し、80%未満の症例では11.1%と大きく低下していた。したがって、これらPEG-IFN製剤とリバビリンとの併用療法では、予定した投与量の8割以上を投与することがSVRを得るうえで重要であることが示された。

図4:減量または投薬中止がSVR率に及ぼす影響(PEG/R群)

(図4)減量または投薬中止がSVR率に及ぼす影響(PEG/R群)

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