C型肝炎 News&Topics 講演会・座談会記録集

DDW-Japan 2004 Fukuoka サテライトシンポジウム

C型慢性肝炎における世界標準治療

高齢者に対するPEG化製剤の有用性

年齢に関しては、PEG/R群における60歳以下の症例のSVR率が49.0%だったのに対して、61歳超では43.1%となっており、60歳を境にSVR率が5.9ポイント低下していた。しかし、IFN/R群では60歳以下の症例のSVR率が47.5%、61歳超は34.6%となっており、SVR率の低下は12.9ポイントと大きかった(図5)。熊田氏は、「PEG-IFN製剤は体に優しいと言われているが、そのことが高齢者の治療成績にも表れたようだ」としている。実際、高齢者が有害事象で減量または投薬中止を余儀なくされた割合は、IFN/R群に比べてPEG/R群で低かったことが示されている。

図5:高齢者におけるSVR率の比較

(図5)高齢者におけるSVR率の比較

ウイルス消失時期で予測するSVR率

ウイルスの消失時期別にSVR率を比較した解析からは、PEG/R群で4週以内にウイルスが消失した症例のSVR率は100%、5〜12週に消失した症例も71.1%と高率であったが、13〜24週に消失した症例でも36.4%という比較的高いSVR率が得られたことが判明した(図6)。この結果について熊田氏は、「12週までにウイルスが消失しない症例でも必ずしもSVRの見込みがないわけではなく、その時点で治療を打ち切ることは適切ではない」と指摘した。

図6:PEG/R群のウイルス消失時期別SVR率

(図6)PEG/R群のウイルス消失時期別SVR率

ウイルス陰性化が得られない症例でもALTを低下させる効果に優れる

PEG/R群におけるALTの正常化率は、投与終了時70.5%、投与終了後24週時53.9%となっており、治療した症例の半数以上で持続的なALTの正常化が得られた。特筆すべき知見として、SVRが得られなかったnon-SVR症例でも、PEG/R群では31.2%にALTの持続的な正常化が達成されていた。SVRが得られた症例と、non-SVR症例でもALT正常値上限2倍以内の症例を合計すると、実に88%に達していた(図7)。

図7:SVRおよびALT正常値上限2倍以内の症例割合

(図7)SVRおよびALT正常値上限2倍以内の症例割合

血球系の急激な減少は観察されていない

副作用に関しては、今回の500例以上の症例におけるPEG/R群、IFN/R群を通じて、重篤な副作用は観察されなかった。両群の比較では、白血球数の減少など血球系の副作用がPEG/R群でやや多い傾向だったが、血小板数の減少を除いて顕著な差は認められなかった(図8)。PEG/R群における血小板数の減少は、グレード3の症例が1例出現して投与中止になったものの、グレード4は1例も出現せず、投与終了後には投与前値へと回復している。白血球数とヘモグロビン数に関してもグレード4は1例も出現せず、投与終了後には投与前値へと回復している。発熱に関しては、投与1日目の38度以上の発熱がPEG/R群で有意に少なかった。これらの知見について熊田氏は「PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法は、治療中に急激な血球減少がなく、安全性がとくに問題となる治療法ではないことが確認された」としている。
以上に示した国内臨床開発試験の成績を総括し、熊田氏は「現時点で、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量のC型慢性肝炎に対する治療法として、PEG-IFNα-2b+リバビリン48週併用療法が最も有効性の高い治療法であり、第一選択とすべき」と結論した。

図8:血小板数の推移(平均値)

(図8)

ALT値正常化例は投与を継続すべき

熊田氏はさらに、自施設のIFN未治療例を対象とした、より詳細なPEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法の解析結果を紹介した。それによると、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量の症例に対する48週投与では、投与終了後24週時のSVR率48.6%、投与終了時ウイルス陰性化率70.3%、副作用中止率20.2%という、国内臨床開発試験とほぼ同等の成績が示され、一方、ジェノタイプ 1以外かつ高ウイルス量以外の症例に行った24週投与では、投与終了後24週時SVR率91.7%、副作用中止率8.3%というきわめて良好な成績が示されていた。
ジェノタイプ1かつ高ウイルス量の自験例を対象とした解析のなかで、熊田氏は、PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法で早期にウイルスが消失しない症例に48週まで投与を継続する意味があるか否かを検討した。ALT持続正常化を指標として治療効果を評価したところ、ウイルスが陰性化しないため24週で投与を中止した症例のALT持続正常化率は33.3%だったが、ウイルスが陰性化しなくても48週まで投与を継続した症例のALT持続正常化率は57.1%だったことが判明した(表)。前述のように、国内臨床開発試験で48週まで投与継続したnon-SVR症例のALT持続正常化率は31.2%であり、これも決して悪くない数値であった。これらの知見を勘案し、熊田氏は、「やはり12週でウイルスが陰性化しないからといって投与を打ち切るべきでない」と指摘した。

表:ウイルス非陰性化例で24週以内に投与中止した症例と48週まで投与継続した症例のALT持続正常化率の比較(n=10)

表

では、IFN療法において不完全著効例(すなわちウイルスは陰性化しなかったがALTが持続正常化した症例)と無効例(ウイルスが陰性化せずALTも持続正常化しなかった症例)を分ける要因は何なのか。熊田氏は、この点につきIFN単独療法(連日あるいは間歇6カ月投与)で検討した海外の報告を紹介。多変量解析の結果から、1)投与終了時にALTが正常化しているか否か、2)IFNの投与期間が12カ月以上かそれ未満か、の2点がそれぞれ不完全著効例と無効例を分ける要因となっていたと報告した。実際、熊田氏の自験例では、IFN製剤(PEG-IFNを含む)+リバビリン併用療法によるウイルスの累積陰性化率は、投与12週後では37.8%に過ぎないが、24週後では64.9%に上っており、13〜24週に陰性化した症例の中にも多数のSVR例が含まれていた。これらのデータを総合して、熊田氏は、「日本におけるIFN療法中止基準の1案として、投与開始後24週経ってもウイルスが陰性化せず、かつALTの正常化もみられない、という基準が考えられるのではないか」と提起した。

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