C型肝炎学術講演会

《講演3》
C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα-2b+リバビリン
併用療法の有用性
演者:岡上 武 氏
京都府立医科大学消化器病態制御学教授
演者の岡上氏はまず、従来のC型慢性肝炎治療における問題点を整理し、「IFN治療後の再燃を抑制し、著効率を上げ、発癌を抑制するにはどうすればよいのか、また前治療での無効例を今後どのように治療するか、それが重要な問題である」と指摘。特に発癌抑制の重要性を強調した。そして、今までのIFNα-2b+リバビリン併用24週投与で明らかになった課題について「再燃を抑えるにはIFNα-2b+リバビリンの長期投与が必要である。ジェノタイプ1bでウイルス量が850KIU/mL以上の症例は極めて難治性である。本邦には高齢者が多いため、減量・中止例がかなり多い」と述べ、「副作用を軽減し、治療効果を上げるには、今回承認されたPEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法(48週)の優れた点をいかに臨床で活用するかが重要となる」と指摘した。
次に岡上氏は、今回行われたPEG-IFNα-2bとリバビリン併用投与試験(PhaseV国内臨床開発試験)の成績を示して「難治例といわれるジェノタイプ1かつ高ウイルス量の患者さんの約半数は、この併用療法で著効に至ることが明らかになった。この臨床試験の成績で最も興味ある点は、先ほど難治性と指摘したウイルス量850KIU/mL以上の症例の著効率が50.0%と高い数字を示している点であり、投与前のウイルス量に関係なく全ての症例で50%前後の著効を得る可能性が示唆された。また前回治療で再燃した群の著効率も62.6%と非常に高く(図4)、前治療でいったんウイルスの陰性化がみられた症例の約2/3はこの併用治療で著効に至るという成績であった。さらに発熱などの副作用の発現率も従来のIFN治療と比較して低く、血小板数や白血球数の急激な減少あるいは中和抗体の発現はみられなかった」と総括した。
PEG-IFNには12KDのポリエチレングリコール(PEG)を結合させたPEG-IFNα-2bと40KDのPEGを結合させたPEG-IFNα-2aがあるが(表2)、岡上氏は「PEG-IFNα-2bは強い抗ウイルス活性を持ちながら薬剤の蓄積性が認められないので、有効性と安全性を併せ持つ薬剤である」と解説した。また、「治療時の血液検査はPEG-IFNα-2bでは治療8週目までは週1回、その後は月1回の計18回ですみ、血液検査の回数が少なくてすむPEG-IFNα-2bによる治療は、患者さんのQOLの面でも優れている」と述べた。
次に岡上氏は無症候性HCVキャリアの実態と問題点について述べた。わが国のHCV持続感染者170万人のうち約50万人は無症候性キャリアといわれ、その定義は「血清ALT正常値が1年以上持続するHCV持続陽性者」といわれているが、岡上氏は「多くの施設は、血清ALT正常値を40IU/L以下としているが、慢性肝炎や肝硬変例では40IU/L以下の症例があるので、正常値は30IU/L以下とすべきだ」と指摘。さらに、無症候性HCVキャリアに対するPEG-IFN+リバビリン併用療法では、症候性慢性肝炎に対する治療効果と差がないことが海外にて報告があり、本邦においてもその必要性を検討すべきであると述べた。
最後に「高齢化による副作用増加の懸念、肝硬変症例に対する投与方法、再発予防のための投与方法などが今後の重要な検討課題である」と述べて講演を終えた。
図4 PEG-IFN α-2b+リバビリン併用療法のSVR率

表2 2種類のPEG-IFNの比較

Closing Remarks
PEG-IFNα-2b+リバビリン併用投与による臨床薬理試験の中間成績
林 紀夫 氏 大阪大学大学院分子制御治療学教授
講演の最後に挨拶した林氏は、現在進行中の「PEG-IFNα-2b+リバビリン併用投与による臨床薬理試験」について紹介した。
この試験はジェノタイプ1かつ高ウイルス量のC型慢性肝炎患者120例を対象としたもので、主要評価項目は、投与終了後24週時における血中HCV RNAで、併用療法における著効例を規定する因子を探る試験である。
その中間成績をみると、ウイルス陰性化率は投与終了時には88.4%、投与終了後24週時では60.0%であった(図5)。この成績について林氏は「今回のトライアルにおけるPEG-IFNα-2b+リバビリン併用投与による投与終了後24週時のウイルスの陰性化率(SVR率)は約60%であり、最終的には非常に高い著効率になると思われる。また、この試験では前治療における無効群のSVR率が45.5%と、これもまた非常に高くなっている(図6)」と述べた。
臨床試験の結果との違いについては「まだ十分に解析していないので原因は明らかではないが、PEG-IFNα-2b+リバビリン併用療法は、臨床試験で示された以上の有効性が期待できるので、臨床上さまざまな工夫を行い、より多くの患者さんが著効になるように努力していただきたい」と述べ、講演会は終了した。
図5 SVR率の推移

図6 投与終了後24週時のSVR率



