C型肝炎 News&Topics 講演会・座談会記録集

第41回日本肝臓学会総会ランチョンセミナー

最新のPEG-IFNα-2b/RBV併用療法の治療成績および今後の課題

(写真)会場風景ペグインターフェロンアルファ2b(PEG-IFNα-2b、商品名:ペグイントロン®)/リバビリン(RBV、商品名:レベトール®)併用療法により、難治性C型慢性肝炎に対する治療成績は飛躍的に改善されてきた。今後、本治療法によるウイルス学的著効(SVR)率のさらなる向上のためには治療効果の予測因子を明らかにし、個別化治療の方針を決定することが重要になってくる。 本セミナーでは「PEG-IFNα-2b/リバビリン併用療法の最新の成績―新しい臨床成績の結果から―」と題して大阪大学大学院医学系研究科分子制御治療学の平松直樹氏が、また「ALT正常例に対するIFN治療」と題して大垣市民病院消化器科部長の熊田 卓氏が講演した。座長は山形大学医学部消化器病態制御内科学教授の河田純男氏が務めた。

(写真)平松 直樹 氏

平松 直樹 氏

《講演1》

PEG-IFNα-2b/リバビリン併用療法の最新の成績
―新しい臨床成績の結果から―
SVR率のさらなる向上へ

大阪大学大学院医学系研究科分子制御治療学の平松直樹氏らは、12施設の共同研究において、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量のC型慢性肝炎117例についてPEG-IFNα-2b/RBV併用療法を施行。現在、解析可能な101例について、同療法の治療効果および治療効果に影響を及ぼす背景因子、ウイルス陰性化時期およびHCV dynamicsと治療効果、さらにRBVによる貧血への対策について解説した。

ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例に対し、SVR率61.4%

図1 治療処置別SVR率

(図1)治療処置別SVR率(IFN治療歴)

治療方法として、PEG-IFNα-2b 1.5μg/kgが週1回投与され、RBVは体重に応じて投与量が決められた(60kg以下;600mg、60超〜80kg;800mg、80kg超;1,000mg)。
101例について解析した結果、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例に対し、61.4%の極めて高い投与終了後24週時のSVR率を得た。治療完遂例および中止例別にSVR率を検討すると、投与中止された22例では36.4%だったが、治療完遂できた79例では68.4%の高値を示した(図1)。なお、治療完遂例79例のウイルス陰性化率の推移をみると、治療開始後12週で64.6%、24週で86.1%、48週投与終了時で87.3%を認めた。また、ALT正常化率はSVRが得られた症例で94%、得られなかった症例で32%であった。

発癌リスクが高い男性に朗報−76.8%の高いSVR率−

男性に48週間の併用療法を行った場合、76.8%と高いSVR率が得られた(図2)。今まで、男性においては、IFNによる治療効果が低い上に、肝癌発生のリスクが高いとして問題となっていたが、今回報告された併用療法においては、4人に3人が治癒するということから、男性患者にも朗報となった。
また、投与前ALT値を4群に分類してSVR率を比較したところ、ほとんど同等であり、炎症反応が低いと考えられる45IU/L未満でもSVR率66.7%が認められた(図3)。さらにステージ別(F1〜F3)ではF1でSVR率83.3%と有意(p=0.049)に高値を示した。
平松氏は「SVR率に寄与する因子を解析した結果、年齢(若年)、性別(男性)、肝線維化(非進展例)に有意にSVR率が高値を示した」と述べた。

図2 患者背景別SVR率(性別)

(図2)患者背景別SVR率(性別)

図3 患者背景別SVR率(投与前ALT値)

(図3)患者背景別SVR率(投与前ALT値)


投与開始36週目で初めてウイルスが陰性化した症例からもSVRが得られた

約1年間の併用療法において、治癒できるかどうかを投与中に予測できることは、患者にとって、治療を続ける上で非常に勇気づけられ、大切なことと考える。今回の新しい併用療法の治療成績を分析すると、この点についても興味深い見解が得られた。それは、約1年間の併用療法中に、いつウイルスが消えたかによって、併用療法の治療効果が予測できるということだ。平松氏は「今回の治療成績から、併用療法開始後3カ月以内にウイルスが消えた場合は、約80%の症例に治癒が期待でき、3カ月時点でウイルスが陽性であったとしても、投与開始6カ月目までにウイルスが消えると53%の治癒が期待できる」と述べた。また、今回の試験においては、投与開始36週目において初めてウイルスが陰性化した症例でSVRが得られた(図4)。今まで、48週間の併用療法では、SVRを得るためには、投与24週目までにウイルス陰性化が認められることが必要だと言われていたが、この症例の報告により、投与24週目でウイルス陰性化が認められなくても、SVRを得られる可能性が示唆された。
また、ウイルスの動態を検討したHCV dynamicsでは、1st Phase(24時間以内)、2nd Phase(1〜14日)、3rd Phase(2〜12週間)の各ウイルスの動態においてSVRを得られた症例と得られなかった症例を比較すると、いずれのPhaseにおいても、SVRを得られた症例が、有意にウイルス減少率が高かった。

図4 投与開始36週で初めてウイルス陰性化が得られSVRに至った症例

(図4) 投与開始36週で初めてウイルス陰性化が得られSVRに至った症例

治療前はCL/F、治療開始後は“Two by Two rule”

一方、全身クリアランス(CL/F)の検討では、CL/F値15未満でヘモグロビン(Hb)8.5g/dL以下となるRBV中止例が出現するため、貧血によるRBV中止を防ぐ方法として、治療前にはCL/Fを指標としたRBVの投与量を検討し、治療開始後はHbを指標とした“Two by Two rule”すなわち、「投与開始後2週の時点でHb値が2g/dL以上低下する症例では、RBVを200mg/日減量する」方法が提唱された。
最後に平松氏は、「C型慢性肝炎に対するPEG-IFNα-2b/RBV併用療法は、減量しながらも投与を完遂することにより高いSVRが得られるので、投与中の投与量を調整することは非常に重要である。また、さらに高いSVRを得るためには、治療の反応性により投与期間などの治療方針を決定する必要がある」と述べ、講演を締めくくった。

*CL/F(L/hr)=32.3×BW×(1−0.0094×Age)×(1−0.42×Sex)/Scr
・BW:体重(kg) ・Age:歳 ・Sex:男性=0,女性=1 ・Scr:μmol/L

座長コメント

(写真)河田純男氏

河田純男氏

PEG-IFNα-2b/RBV併用療法は、従来のIFN単独療法では治癒し難かった難治性症例に効果が期待されている。今回発表された多施設共同試験の成績では、前回IFN治療を行い、ウイルスが消えなかったIFN無効例においても、この併用療法にて48週間の投与が完遂された症例では、58.3%のSVR率が得られている()。
本セミナーでは、平松先生から、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法の最新の臨床成績について、また、熊田先生からは500例以上の自験例をもとに、ALT基準値内症例の予後およびIFN治療の指針などについて、ご講演いただいた。

図 患者背景別SVR率(IFN治療歴)

(図)患者背景別SVR率

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