ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例に対しては
PEG-IFNα-2b/RBV併用療法が第一選択
初期段階で自覚症状が全くなくても、一度は積極的にウイルス除去療法を行うべき
沖田:現在、C型慢性肝炎治療のグローバルスタンダードは、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法ですが、本邦においては多くの患者さんがこの治療の恩恵を受けていないのが現状です。そこでまず、本邦におけるC型慢性肝炎の現状と、その自然経過、治療目的などを簡単に整理してください。
山田:本邦の初回献血者集団におけるC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus;HCV)抗体陽性率は40歳以上で1〜2.5%で、その約70%がHCVキャリアと言われています。しかし、自分がHCVキャリアと知っている人は全体の半数ぐらいと思われます。なぜなら、C型慢性肝炎は自覚症状に乏しいことが特徴だからです。実際、我々もSF36を用いてC型慢性肝炎患者さんのQOLを調査していますが、健康成人と差がありませんでした。自覚がないからこそ、健康診断や人間ドックなどで見つかる例が多いのです。従来、C型慢性肝炎に対しては肝生検を行って、肝炎の病期を初期、中期、進行期に分けていましたが、持続炎症のある患者さんは、初期から中期、中期から進行期へと約10年で進行し、それに伴って肝の線維化の程度も進展します。C型慢性肝炎の治療目標は発癌の抑制であり、そのための最良の方法はウイルスを完全に除去することです。PEG-IFNα-2b/RBV併用療法が行えるようになった現在は、本邦で最も多いジェノタイプ1かつ高ウイルス量の患者さんでは、その約60%はウイルスを完全に排除することができるようになりました。
沖田:山田先生のご指摘の通り、C型慢性肝炎治療の目標は肝癌の発生を抑制することですが、そのためにはどの段階から積極的治療を行うべきだと考えていますか。
山田:たとえ若い方で肝の線維化の程度がF1(極軽度)でも線維化は確実に進行していきますし、F3になりますと年間の肝癌発生率は3〜5%と言われています。一方、発癌リスクの高い高齢者になってから積極的なウイルス除去療法を行うのは厳しい面もあります。したがって、C型慢性肝炎と診断された患者さんは、たとえ初期段階で自覚症状が全くなくても、一度は積極的にウイルス除去療法を行うべきだと思います。
沖田:現在、厚生労働省の指導のもと、節目検診、節目外検診が行われ、年間約3万人のHCV抗体陽性者が見つかっています。そのうち精密検査が必要とされた患者さんは1万7,309人(2004年度)でしたが、実際に精密検査を受けた方は85.2%でした。また、精密検査を受けた方の約半数は治療が必要と診断されていますが、実際に積極的なウイルス除去を目指したIFN療法を受けたのはたった13%で、80%以上の患者さんが肝庇護薬の治療を受けているのです。つまり、山田先生のご指摘のように、「たとえ初期段階で自覚症状が全くなくても、一度は積極的にウイルス除去療法を行うべきだ」という考え方は浸透しておらず、ここに、本邦におけるC型慢性肝炎治療の大きな問題があると思われます。


