C型慢性肝炎治療の現状と課題
PEG-IFNα-2b/RBV併用療法によって、C型慢性肝炎治療はめざましく進歩したといえる。しかし、進歩した一方、残された問題もより鮮明になってきた。そこで、C型慢性肝炎治療における今後の課題について、専門医と開業医に伺った。
東京済生会中央病院 内科部長 塚田信廣氏に聞く
輸血用血液や凝固因子製剤の検査と処理が実施されるようになってからC型慢性肝炎の新規感染例は激減した。しかしその一方で、すでにC型慢性肝炎を発症している患者の高齢化が進んでおり、いかにしてQOLを維持しながら有効な治療を実施するかが大きな課題になっている。C型肝炎治療の現状と課題について塚田信廣氏に尋ねた。
日本でC型慢性肝炎治療にインターフェロン(IFN)が適応されたのは1992年だが、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例ではその後しばらくは著効率が数%という状態が続き、治療に難渋する時期が続いた。状況が大きく変わったのは2001年にIFNα-2bとRBVの併用療法が導入されてからだ。従来の難治性症例でも、24週間の治療で20%近い著効率が得られるようになった。その後、ぺグ化したPEG-IFNα-2bがRBVと併用可能になって治療期間も48週間となり、著効率は約50%まで改善した。この4、5年でC型慢性肝炎治療はめざましく進歩したといえるだろう。しかし、進歩した一方、残された問題もより鮮明になったと塚田氏はいう。
「PEG-IFNα-2b/RBV併用療法を行ってもウイルスが消失しない患者さんが半数近くいるからです。また、一般にこの治療法は安全性に問題のある高齢者や糖尿病、高血圧、腎疾患患者さんなどは慎重に投与する必要があります。このような症例に対してどういう対策を講じるべきか、まだ確かな答えを得ていないのが現状です」
図A PEG-IFNα-2b/RBV併用療法における適応(改定後)

熊田氏 提供
図B PEG-IFNα-2b/RBV併用療法における適応(改定後)

熊田氏 提供

塚田 信廣氏
最近、PEG-IFNα-2bとRBVによる併用療法の新しい適応が認可された。これまでの適応はジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例に限定されていたが、ジェノタイプ2およびジェノタイプ1の低ウイルス量症例(低ウイルス量症例は再治療のみ)にも使用が可能となった。この措置について塚田氏は妥当と評価し、その理由として次の3点をあげた。
(1)従来の治療法のジェノタイプ2における著効率は約80%だが、それがさらに改善すると期待される。
(2)ジェノタイプにかかわりなく、PEG-IFNα-2bの使用により自覚的副作用が減少する。
(3)週1回投与が可能なのでQOLに対してもよい影響を及ぼす。
ただし、今回の適応拡大では治療期間を一律に24週間に固定したが、それでいいのかどうか、多少疑問が残るという。ジェノタイプ2でも低頻度とはいえ、効果不十分な症例があり、その対策が必要だからである。治療期間を延長すれば著効率が改善するのかどうか、早期の検討が求められる。
さらに塚田氏はPEG-IFNα-2b/RBV併用療法の今後の課題として、「個々の患者さんに応じて治療期間や投与量などを調節する、あるいは併用療法かIFN単独療法かなど、いわゆる治療の個別化が求められるでしょう」と語る。
たとえば高齢者は副作用のリスクが高いといわれるが、低用量を投与することにより、副作用を軽減しながら治療を継続することができる。また、たとえウイルスが消失しなくても、AST/ALTを改善させることは可能だ。「高齢者やハイリスク症例では、そのような治療によって病態の悪化を防ぎ、肝癌の発症を抑制することも必要」と同氏は語る。


