C型肝炎 News&Topics 講演会・座談会記録集

座談会

高齢者におけるウイルス排除をいかに高め、肝発癌を抑えるか

高齢者における有効性と忍容性を確保するための工夫

林  :高齢者で少しでも有効率を上げるには、先ほどの豊田先生のご指摘のように、まずは忍容性を上げることがポイントだと思いますが、高齢者ではRBVによる貧血が特に問題となり、治療を中断する最大の原因となっています。そこで、その対策についてご意見を伺います。

豊田:従来、RBVの投与量については固定用量がいいか、体重別用量がいいか議論されてきましたが、有効かつ忍容性の高いRBVの血中濃度を得るには体重別用量設定で投与量を決めるほうがよいと考えられています。一方、私どもはRBVの初回投与量を個々の患者さんの全身クリアランス(CL/F)から算出することを提唱してきました。
従来の検討から、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法において、その有効性を確保するには、投与開始4週時のRBV血中濃度が2,000〜2,500ng/mL必要であるといわれています。この至適RBV血中濃度からCL/Fの検討を行ったところ、忍容性を確保するにはCL/F8〜18がカットオフ値になるのですが、60歳以上の高齢者におけるCL/Fの分布はほとんどが10以下であり、現状と合いません。そこでさらに検討した結果、高齢者におけるRBVの初回投与量はCL/Fが8未満の場合は400mg、8〜18の場合は600mg、18以上の場合は800mgが適当な投与量と考えています。

泉  :私たちも投与開始4週時のRBV血中濃度を調べていますが、減薬が必要だった症例の平均血中濃度は3,068ng/mLで、減薬の必要がなかった症例では2,520ng/mLでした。また、65歳を境にしてRBVの平均血中濃度を比較したところ、65歳以上では3,006ng/mLと高く、高齢者では体重別用量設定による通常量を投与した場合でも、血中濃度が高くなる可能性が示唆されました。したがって、豊田先生がご指摘のように、CL/Fで安全かつ有効な投与量を算出することは、特に高齢者にとっては非常に重要だと思います。

豊田:CL/F値は体重、年齢、性、血清クレアチニン(Scr)値の4つの因子がパラメーターになっているのですが、その式が非常に煩雑であるという意見が多いので、このたび年齢と体重からCL/Fを計算する簡易的な方法を考えました。この簡易式から算出した高齢者におけるRBVの初回投与量をまとめたものが表1です。

表1 高齢者におけるRBV初回投与量(簡易版)

(表1)高齢者におけるRBV初回投与量(簡易版)

このように、患者さんの年齢と体重から最適なRBV初回投与量を計算し、実際には投与1〜2週目のヘモグロビン変動量をみながら微調整することで、治療を完遂できる確率が高くなると思われます。事実、CL/Fに基づいてRBVの投与量を決めている当院の成績をみると、RBVの減量率は22.7%、投与開始12週目のウイルス陰性化率は54.5%になっています(図5)。

図5 高齢者に対するCL/FベースのRBV投与

(プロスペクティブ・スタディ)

(図5)高齢者に対するCL/FベースのRBV投与

林  :RBVは一定の血中濃度を維持できないと有効率が得られないため、副作用が強い場合、どこまで減量できるかという質問をよく受けるのですが、その点はどのように考えていますか。

豊田:RBVの血中濃度が2,500ng/mL以上、特に3,000ng/mL以上になると中止率は非常に高くなり、逆に2,000ng/mL以下だと有効率は落ちるので、2,000ng/mL〜2,500ng/mLの間がよいと思われます。私たちは2,250ng/mLを目安にして投与量を決めています。

林  :高齢者では貧血以外の副作用が問題になることがありますか。

泉  :高血圧や糖尿病の合併症のある患者さんでは、十分注意しています。しかし、合併症に注意すれば特に問題は起こらないと思われます。

豊田:臨床検査上の副作用だけでなく、発熱や食欲不振、全身倦怠感といった自覚的な副作用も問題になりますが、従来型IFNよりPEG-IFNα-2bのほうが自覚的な副作用は少ないと感じています。

泉  :RBVの調整だけでなく、PEG-IFNα-2bの調整もSVR率の低下に関与していると思われます。現在、PEG-IFNα-2bは1.5μg/kg投与していますが、減量する場合は0.75μg/kgになってしまう点が問題だと考えます。

林  :それは非常に重要な指摘だと思います。PEG-IFNα-2bの投与量は必ずしも多くありませんので、大幅に減量すると有効率は低下すると思います。ですから、私どもはRBVを減量してもPEG-IFNα-2bはなるべく減量しないように注意しています。

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