座談会
林 :次に、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例以外の治療についてお話を伺います。既にご存知のように、最近PEG-IFNα-2b/RBV併用療法の適用が拡大され、ジェノタイプ2およびジェノタイプ1かつ低ウイルス量症例にもPEG-IFNα-2b/RBV併用療法が行えるようになりました(低ウイルス量の場合、初回治療症例は対象外で、再治療のみ可能)。ただし、これらの症例に対する投与期間は24週です。その治験成績をみると投与終了後24週目で約90%のウイルス陰性化率が得られています(図6)。
図6 日本におけるウイルス陰性化率の変遷
(対象:ジェノタイプ1かつ高ウイルス量以外の症例)

現在私たちは、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法、IFNα-2b/RBV併用療法、PEG-IFNα-2a単独療法、IFN単独療法という選択肢をもっていますが、その使い分けについてコメントしてください。
泉 :基本的には患者さんの合併症、貧血の程度、年齢などを考慮して使い分けることになると思いますが、従来の治療でウイルスが排除できなかった患者さんにとっては、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法が、最もウイルス排除を期待できる治療法であることは間違いありません。しかも治療を完遂することが重要ですから、RBVとPEG-IFNα-2bの投与量を慎重にコントロールすることがポイントだと思われます。
豊田:ジェノタイプ1かつ低ウイルス量症例に対して、すべて24週間投与で十分なのかは、今後の検討課題だと考えています。
林 :本邦では、血中HCV RNA量がRT-PCR法による定量測定で100KIU/mL未満を低ウイルス量症例と定義していますが、同じ患者さんでも測定時期によってばらつきがみられますから、確かにその点は問題ですね。
泉 :ジェノタイプ1かつ低ウイルス量症例で、治療開始後速やかにウイルスが消えたのに治療終了後に再燃し、その後ウイルス量が非常に多くなった症例を経験しています。そこで調べてみると、その症例はかつて高ウイルス量だった時期があったのです。しかし、治療開始時の測定では100KIU/mL未満であったため、24週間治療になったのですが、本来その症例は48週間治療の対象だったわけですから、その点の見極めも重要になると思われます。
林 :最後に、今後のC型慢性肝炎治療における課題をご指摘ください。
泉 :本邦にはジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例が多く、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法をもってしてもウイルスを排除できない症例もあるのが現状ですから、今後、それらの方々をいかに治療するかが問題だと思います。
豊田:一番大きな問題は投与期間だと思います。症例によっては投与期間が短くてすむ方もいれば、長くしないと効果がでない方もいます。その見極めが今後の重要な課題になると思われます。
泉 :安全性を考慮してPEG-IFNα-2bやRBVの投与量を減らしますと、当然ウイルスの消失時期は遅くなります。実際、投与開始12週以降にウイルスが消えた症例には再燃例が非常に多いのです。したがって、12〜24週目までにウイルスが陰性化した症例の再燃をいかに減らすかも今後の重要なテーマとなります。現行の制度では各都道府県によって48週以降の治療についてばらつきがありますが、どういう症例に72週間の治療が必要かを明らかに示すことがまず大切です。
林 :投与開始12〜24週目の間に初めてウイルスが陰性化した症例には、72週間治療が最も有効であるというのが専門医の一致した意見だと思います。したがって、泉先生がご指摘のように、72週間投与が必要な症例を見極めることができる確かなデータをきちんと示せば、各都道府県を説得することも可能だと思います。また、12週目までに陰性化した人のSVR率は70%で、30%は再燃します。再燃率を減らす手段や方法についても今後検討していくべきだと思われます。
本日は、主に高齢のC型慢性肝炎に対する治療のポイントについてご意見を伺いました。私たちが行っている臨床薬理試験の成績をみると、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例においてもPEG-IFNα-2b/RBV併用療法で約60%のSVR率が得られています。しかし、若年者と比べると高齢者のSVR率はまだ低いのが現状です。したがって、高齢者のSVR率をいかに高めるかが、今後の重要な課題だと思われます。そのためには、投与量を若干減量しても治療を完遂し、できれば投与期間をさらに長くすることが解決策の1つであると思われます。
本日はありがとうございました。


