一般演題「C型肝炎治療」より
2004年12月、わが国でもC型慢性肝炎に対するペグインターフェロンα-2b(PEG-IFNα-2b)/リバビリン(RBV)併用療法が保険適用となり、現在、第一選択の治療法として定着しつつある。さらに治療効果を向上させるため、どのような因子が有効なのかさまざまな検討がなされている。
九州大学関連肝疾患研究会(KULDS)の古庄憲浩氏らは、同療法の初期ウイルス学的効果(EVR)について、関連多施設にて前向き調査を実施した。対象症例824例(うち難治例725例)のデータを検討した結果、セログループ1かつ高ウイルス量症例において、EVR向上に有効な因子として血小板数の高値に加え、γGTPが低値であることを指摘した。
まず治療方法として、セログループ1にはPEG-IFNα-2b/RBV併用の48週間投与、セログループ2には24週間投与とし、通常投与群(PEG-IFNα-2b:1.5μg/kg/週、RBV:600〜1,000mg/日)、あるいは減量投与群のいずれかに割り付けた。
対象の背景因子は、男性55%、60歳未満55%、肝線維化ステージ(F0:5.8%、F1/2:41.5%、F3/4:13.7%、不明39.0%)、血小板数15×104/μL未満45%、ALT値50IU/L未満37.2%、IFN治療歴なし61.7%、などであった。
投与開始4、12、24週目において、EVRの検討可能症例はそれぞれ708例(うち難治例579例)、621例(同503例)、538例(同434例)。そのウイルス陰性化率は、4週目25.6%、12週目60.5%、24週目77.1%であった。
次に、古庄氏らはセログループ1かつ高ウイルス量症例の4、12、24週目の各時期において、性別、BMI、肝線維化ステージ、HCV RNA量、IFN治療歴、ALT値、血小板数、γGTP値、RBV投与量について、ウイルス陰性化に対する影響を検討した。
その結果、BMI、肝線維化ステージ、IFN治療歴、ALT値にはウイルス陰性化への影響は認められなかったが、男性で4、12週目に有意にウイルス陰性化率が高かった。また、HCV RNA量(KIU/mL)では4週目において、100〜500>群(陰性化率24.5%)と1,000〜3,000>群(同13.1%)の間に有意差(p=0.0439)が認められた。
さらに、各時期を通して有意差が認められた因子は、血小板数およびγGTP値であった。血小板数(×104/μL)は15>群に比べ15≦群で有意(各p<0.001)にウイルス陰性化率が高く、γGTP値(IU/L)では43≦群に比べ43>群において有意(p<0.0023、p<0.0001、p<0.0001)に高かった。多変量解析結果でも同様な傾向が認められたという。
以上から、古庄氏は「PEG-IFNα-2b/RBV併用療法により良好なウイルス陰性化を認めるが、陰性化を認めない症例、陰性化が遅延する症例も存在する。セログループ1かつ高ウイルス量症例のEVR向上に影響を与える因子として、血小板数15×104/μL以上、またγGTP 43IU/L未満が考えられる」と述べた。
ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例に対するPEG-IFNα-2b/RBV併用療法の治療効果は、ウイルス陰性化時期に関連するといわれている。山梨大学医学部第一内科の坂本穣氏らは、ウイルス陰性化時期とHCV RNAのIFN感受性決定領域(ISDR)との関係を検討。その結果、ISDRは治療前ウイルス量に相関し、同療法のEVRにも関連すると指摘した。
対象は、ジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例207例。平均年齢55.4±9.4歳、男性131例、女性76例。初回治療82例、再治療52例。同療法によるウイルス陰性化率は、2週目6%、4週目11%、8週目38%、12週目51%、24週目78%、48週目88%であった。
同氏らはこれらに対して、年齢(60歳未満/以上)、性別、線維化ステージ(F1/2vsF3/4)、治療前ウイルス量(<1,000KIU/mL、1,000〜3,000KIU/mL、≧3,000KIU/mL)について検討。さらに、ISDRの遺伝子型(野生型、中間型、変異型)におけるウイルス陰性化率の推移、EVRとの関連性などを検討した。
その結果、投与12週目までのEVRは、1)60歳未満、2)男性、3)線維化非進展例、4)治療前ウイルス量の少ない症例において高かった。
ウイルス陰性化率とISDRとの関連性をみると、投与12週目における陰性化率は変異型92%、中間型67%、野生型39%であり、変異型と他の群間に有意差(p<0.05、p<0.01)が認められた。また、ISDRは治療前ウイルス量に相関(変異型ではウイルス量が有意に少ない)し、ウイルス量が同等であればISDRの変異があるほど治療効果の高いことが判明した。
さらに、投与2週目のウイルス量の消失(コア蛋白量の低下率)は、12週までのEVRに相関、すなわち早期にウイルス量が消失する症例ほど、12週目のウイルス陰性化率が高く、また変異数が多いほど、コア蛋白量の低下率が高くなるなど、ISDRとも相関することが明らかになった。
以上のことから坂本氏は、「ISDRとEVRの検討により治療効果予測が可能と考えられ、HCV dynamicsにおける第2相(1〜14日)、第3相(2〜12週)のウイルス動態に影響を及ぼすRBV投与法の工夫などにより、治療の個別化が可能なのではないか」と述べた。


