C型肝炎 News&Topics 講演会・座談会記録集

第42回 日本肝臓学会総会 ランチョンセミナー:併用療法の臨床経験からみた今後の展開

(写真)「座長:恩地森一氏 愛媛大学医学部第三内科教授

座長:恩地森一氏
愛媛大学医学部第三内科教授

この5月に国立京都国際会館で開催された第42回日本肝臓学会総会で「併用療法の臨床経験からみた今後の展開」と題したランチョンセミナーが行われた。
本邦においてペグインターフェロンアルファ-2b(PEG-IFNα-2b;商品名ペグイントロン®)とリバビリン(RBV;商品名レベトール®)の48週併用療法が保険適用となったのは2004年12月であり、以来約1年半が経過した。そこで本セミナーでは、各施設における臨床成績の実際と今後の課題が報告された。座長は愛媛大学医学部第三内科教授の恩地森一氏である。
なお、本セミナーにおける3講演ともに、投与終了後24週までのフォローアップデータを検討することが時間的に難しかったため、基本的に投与終了12週時点でHCV RNAが陰性化している症例をウイルス学的著効(SVR)としている。

講演1

当院におけるPEG-IFNα-2b/RBV併用療法の工夫

−さらなる治療効果の向上を探求して−

治療開始13週目以降にウイルスが陰性化した症例には、48週間以上の併用療法が有効

(写真)演者:瀬崎 ひとみ氏 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 肝臓センター

演者:瀬崎 ひとみ氏
国家公務員共済組合連合会
虎の門病院 肝臓センター

当院において2006年2月までにPEG-IFNα-2b/RBV併用療法(48週)を行ったジェノタイプ1かつ高ウイルス量症例は425例で、治療終了時のウイルス陰性化率は49歳以下で74%、50〜59歳は64%、60歳以上は55%、治療完遂例におけるSVR率はそれぞれ65%、58%、46%であった。
併用療法の治療効果は、年齢が高くなるにつれて低くなる傾向がみられるが、対象症例にはF3以上が83例(20%)、65歳以上が33例(8%)含まれていることを考慮すると、SVR率はかなり高いといえる。
一方、治療終了後12週を経過した152例におけるウイルスの陰性化時期とSVR率の関係をみると、治療8週目までに陰性化した症例のSVR率は92%であるが、13週目以降に陰性化した症例では45.7%であった。そこで、治療開始13週以降にウイルスが陰性化した症例のSVR率を高めるために、併用療法を72週間行ってその有効性を検討した。

対象は10例で、まずIFNα-2b/RBV併用療法を24週間行い、その後PEG-IFNα-2b/RBV併用療法(48週間)に切り替えている。その結果、治療終了後12週目において陰性化が持続している症例は10例中7例(70%)で、治療開始13週目以降に陰性化した症例では7例中5例(71.4%)が陰性化を維持している(図1)。従って、治療開始13週目以降にウイルスが陰性化した症例は、併用療法を72週間行うことでSVR率を高めることができると考えられる。

図1 PEG-IFNα-2b/RBV併用療法72週投与例の検討

(図1) PEG-IFNα-2b/RBV併用療法72週投与例の検討

虎の門病院

65歳以上の高齢者で治療中止が予測される症例には、開始時減量投与法が有効

高齢者における治療中止例を極力少なくするため、当院では65歳以上でヘモグロビン(Hb)が14g/dL以下の症例は、治療開始時のRBV投与量を200mg減量している。また白血球数が2,500/mm3以下の症例ではPEG-IFNα-2bの初期投与量を20μg減量している。
こうした減量開始例における初期の血球系の変動をみると、Hbは治療中止基準までの低下はみられず、好中球もほぼ治療中止基準以上で経過するため(図2)、治療中止を回避することが可能になり、当院における全体の中止率は9%(29/316例)と国内第V相試験(CHC500)の18%(46/254例)の半分となっている。また、減量開始群と通常量開始群の陰性化率を比較すると、投与終了時で前者は65%、後者は71%とほぼ同等の効果が認められている。従って、65歳以上の高齢者で貧血や好中球減少による治療中止が予測される症例では、開始時減量投与法を用いてSVR率を高めるべきだと考えている。

図2 PEG-IFNα-2b/RBV併用療法:減量開始群
ヘモグロビンおよび好中球数の経過

(図2)PEG-IFNα-2b/RBV併用療法:減量開始群 ヘモグロビンおよび好中球数の経過

虎の門病院

治療開始24週時にウイルス陽性でもALT正常例では48週間の治療を完遂することが重要

当院においてIFNα-2b/RBV併用療法(48週)を行った症例のうち、治療開始24週時にHCV RNA陽性かつALT値正常例では、治療終了後3年目においてもALT正常を維持している症例がみられる。

図3 IFNα-2b/RBV併用療法の48週完遂症例におけるALT正常化率

(図3)IFNα-2b/RBV併用療法の48週完遂症例におけるALT正常化率

虎の門病院

そこで、IFNα-2b/RBV併用療法(48週)における生化学的長期予後を検討したところ、SVR症例(30例)は全例ALT正常を維持しており、relapser(再燃)症例でも治療中にALTが正常化した7例中3例(42.9%)が、Null responder(無効)症例でも同じく11例中6例(54.5%)がALT正常を維持していた(図3)。つまり、治療中にALTが正常化した症例の81.3%(39/48)は、治療終了2年後においても正常化を維持していることになる。従って、併用療法開始24週時点でウイルスが陽性でもALT正常例では、48週間の治療を完遂することで50%(9/18)の症例が治療終了後もALT正常を維持し、長期予後を改善できると考えている。

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