C型肝炎 News&Topics 講演会・座談会記録集

講演3

PEG-IFNα-2b/RBV併用療法治療成績と無効例に対する対策

PEG-IFNα-2b/RBV併用療法における無効例の早期予測

(写真)演者:加藤 道夫氏 国立病院機構 大阪医療センター 消化器科

演者:加藤 道夫氏
国立病院機構
大阪医療センター 消化器科

2004年12月以降、当院でPEG-IFNα-2b/RBV併用療法(48週)を開始した症例は250例を超えるが、そのなかで解析可能な139症例(ジェノタイプ1かつ高ウイルス量)の成績をみると、EVRがみられた症例は36.2%と、国内治験の56.7%と比べて低い。その原因としては治療困難例が多数含まれていることが挙げられる。しかし、治療終了時のウイルス陰性化率でみてみると73.8%と国内治験の71.7%と同等の成績を示している。一方、患者背景別にウイルスの陰性化率を検討したところ、初回投与例と比べて再投与例の治療終了時のウイルス陰性化率は低く、特に前回がIFNα-2b/RBV併用療法であった症例における再燃例あるいは無効例では、さらに低いことが明らかになった。
従って、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法の無効例が早期に予測できれば、治療継続による副作用や治療費の軽減に役立つと考えられる。そこで当院では、併用療法開始2および4週後のHCV RNAの変動比(0-2/0-4ratio)を4つのグループ注1)に分けてウイルス学的予後を比較検討している。

  • 注1)Group A:0.01未満
    Group B:0.01以上〜0.1未満
    Group C:0.1以上〜0.5未満
    Group D:0.5以上

EVR率はGroup Aが83.8%と非常に高く、Bが40.7%、Cが4.3%、Dは0%であり、治療開始2週時までにウイルス量が1/10まで下がらないとEVRを得ることはほとんど不可能といえる(図8)。この4グループの背景因子をみると、年齢には差がないが肝機能低下例がGroup Dに有意に多かった。
一方、治療開始4週後のHCV RNAの変動比(0-4ratio)におけるEVR率をみると、Group Aは64.6%だが、B、C、Dは共に0%であった(図9)。
次に、0-2ratio→0-4ratioの推移別にEVR率をみると、A→Aは80%、B→Aは55%、C→Aは20%、B、C、D→B、C、Dは0%であり、治療開始24週時の陰性化率は、それぞれ100%、80%、100%、11%であった。
従って、治療期間を考える上で治療開始2週後のウイルス低下率が大きな意味をもち、EVRが得られた症例および0-2ratio→0-4ratioがB→Aの症例はPEG-IFNα-2b/RBV併用療法の48週間投与で十分だが、C→Aの症例はさらなる長期投与、B→B、C、DあるいはC→B、C、D、そしてDの症例は治療の中止あるいは変更を考慮する必要があると思われる(図10)。

図8 0-2ratio別のPEG-IFNα-2b/RBV併用療法12週目までのウイルス陰性化率

(図8)0-2ratio別のPEG-IFNα-2b/RBV併用療法12週目までのウイルス陰性化率

大阪医療センター

図9 0-4ratio別のPEG-IFNα-2b/RBV併用療法12週目までのウイルス陰性化率

(図9)0-4ratio別のPEG-IFNα-2b/RBV併用療法12週目までのウイルス陰性化率

大阪医療センター

また、ウイルスの陰性化時期と再燃率を比べると、治療開始4〜12週目に陰性化した症例の再燃率は29%、12〜24週目では64%、24週目以降では100%となっている(国内治験のデータ)。この再燃をいかに抑えるかも今後の重要な課題であるが、PEG-IFNα-2b/RBV併用療法の48週間より72週間治療の方が有意に再燃率は低いという報告があるので、当院では12〜24週目に陰性化した症例に対しては、72週間の治療を原則としている。

図10 治療継続の予測指針案

(図10)治療継続の予測指針案

大阪医療センター

新しい抗ウイルス薬の開発

現在、新しい抗ウイルス薬がいくつか開発されているが、そのうち、米国のシェリング・プラウ社で開発されたNS3 Protease Inhibitor(SCH503034)の成績を紹介する。
NS3 ProteaseはHCVの増殖に必要な、非常に重要な酵素であり、同薬はこの酵素の働きを阻害することで強力な増殖抑制効果を発揮する。

図11 NS3 Protease Inhibitor(SCH503034)併用の有無別PEG-IFNα-2bの抗ウイルス効果

(図11)NS3 Protease Inhibitor(SCH503034)併用の有無別PEG-IFNα-2bの抗ウイルス効果

Zeuzem S.et al.:Hepatology.2005;42(suppl 1):276A

実際、過去のIFN単独療法あるいはIFNα-2b/RBV併用療法における無効例注2)を対象とした試験では、その抗ウイルス効果は用量依存的に強くなり、400mgを1日3回投与すると、1.5log以上の抗ウイルス効果がみられることが明らかになっている。さらに、PEG-IFN単独あるいは併用療法の無効例に対して行われた試験では、PEG-IFNα-2bとの併用で、最大2.9logの抗ウイルス効果があることも明らかになっている(図11)。
いずれ本邦でも、NS3 Protease InhibitorのようにRBVと作用が異なる抗ウイルス薬の使用が可能になると考えられ、現在の治療でSVRが得られない治療困難例への適応が期待される。

注2)投与開始12週時でウイルス量が2log以上低下しない症例。

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