横浜市東部地域での病診連携は、済生会横浜市東部病院・済生会神奈川県病院と地元医師会の有志をメンバーとする「病診連携Wの会」が中心となって進められている。肝炎については、1994年に済生会神奈川県病院内科部長に就任した山室 渡医師(現在は済生会横浜市東部病院副院長)が、地元医師会有志と積極的に話し合いを重ねるなかで大きく前進してきた。専門医とかかりつけ医の連携を強化する独自の「肝炎治療ネットワーク(肝炎ネット)」を構築し、この枠組みを活用して、患者、専門医、かかりつけ医の三者がそれぞれメリットを得る運用をしている。
当初、Wの会の“W”は医師会有志の“若手”を意味していた。だが、病診連携が会のメインテーマとなってから、“W”は“ダブル・ドクター”の意味が込められることになった。
「病診連携Wの会」は、病院側から各診療科の医師、コ・メディカル、事務職員ら約35人、診療所側から約50人がメンバーとなっており、年2回、総会を開いている。当初、診療所側の参加者は神奈川区に限られていたが、現在は近隣の鶴見区や保土ヶ谷区などからも参加があり、活動の輪が広がっている。
肝炎ネットの概要は以下の通り。
【目的】
病診連携によって地域における肝がんによる死亡を減らす
【病院の役割】
- 肝がんのスクリーニングをする
- ウイルス学的検査に基づき、治療法を選択する
- 肝がん発症リスクに応じて、次の病院受診時期を決める
- 肝がんの疑いがあれば精査し、発見された場合は適切な治療をする
- 各症例は登録し、データを蓄積する
【診療所の役割】
- 血液検査を見ながら肝炎鎮静化(ALT低値)を図る
- 可能なら抗ウイルス療法をする
- 定期的に肝炎ネットを利用し、病院受診を促す
- 肝炎ウイルス陽性者を早期に発見する
上記のように「肝炎ネット」では、病院と診療所の基本的な役割を定めているが、診療所の体制に応じて、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応することになっている。このため、細かな取り決めをあえてしていない。このフレキシブルな体制こそが、「肝炎ネット」の成功をもたらしたと、病院側の医師も診療所側の医師も口をそろえている。
肝炎ネットの特徴は、「超音波検査の予約」に象徴的に表れている。試行錯誤を経て、超音波検査は病院の生理(超音波)検査室で直接受け付けることになった。「『肝炎ネット』の予約で」と最初に言うことで、予約電話は検査室に回される。そのために、電話交換手用のマニュアルも作成された。また、患者は病院の外来予約日に合わせて超音波検査の予約ができるため、病院に足を運ぶ回数が少なくて済むようになった。

図.「肝炎ネット」の予約方法
また、診療所の事務担当者でも予約電話が簡単にできるようにするための「予約マニュアル」を作ることで、診療所の医師の負担も軽くなった。かかりつけ医からの「紹介状」や、専門医からの「紹介患者経過報告書」も専用の書式を用意し、必要十分な情報を効率的に共有できるように工夫されている。
●「肝炎治療ネットワーク」診療申し込み、予約方法
http://wdoc.gr.jp/pdf/kanen-net0.pdf
●「肝炎治療ネットワーク」紹介状
http://wdoc.gr.jp/pdf/kanen-net1.pdf
●「肝炎治療ネットワーク」紹介患者経過報告書
http://wdoc.gr.jp/pdf/kanen-net2.pdf





