
病診連携は病院の有するマンパワーや医療機器を有効に活用する意味で、現代の医療に欠かせません。診療所側も自施設で医療行為を完結しようとすると、標準治療を提供できない場合がでてきます。病院、診療所が得意なところを認め合って機能分担することが大切です。それにより、患者さんはどの医療機関を受診しても標準的な治療を受けることができるようになります。
C型肝炎について言えば、圧倒的なキャリア数からいって、専門医が主治医としてフォローできる患者は氷山の一角でしかありません。10〜30年の長期経過を考えれば、肝がん撲滅のための慢性肝炎の診療には、一定のガイドライン、クリニカルパスを利用した地域全体での取り組みが不可欠です。専門医とかかりつけ医が連携し、一人ひとりの患者さんを長期にわたって診ていくシステムが必要でしょう。
病診連携に取り組んでみて、初めて気づいたことがたくさんありました。病院側の医師のなかには、紹介された患者さんを診療所に戻すのは無責任で失礼にあたるのではないか、と誤解している例さえあったのです。
また、診療所の医師は病院側の電話対応に不満を持っていました。そこで、電話交換手用マニュアル、コ・メディカルスタッフ用マニュアルなどを作成し、「肝炎ネット」の一言でスムーズに一連の物事が運ぶように改善しました。
当初、肝炎ネットの運用については、診療所医師の5人の有志と私の限られたメンバーだけで試行しました。そこででてきた問題点を洗い出し、改善を重ねていったのです。超音波検査の予約法とそれに関係するマニュアルづくりや、紹介状・紹介患者経過報告書の書式などは、この時期に作成しました。スムーズに運用できるという自信を得たことから、2002年、地域の医師が誰でも参加できるオープンな形式とし、現在に至っています。
肝疾患は一般に脂肪肝がいちばん多く、次がC型肝炎、薬剤性肝障害と続きます。ところが、肝炎ネットは72%がC型肝炎、9%がB型肝炎の患者さんです。肝がんの発症原因は約80%がC型肝炎ウイルス、10%弱がB型肝炎ウイルスの持続感染ですから、構成比率が非常に近い。肝がん撲滅という肝炎ネットの目標に沿った活動ができているのではないかと自負しているところです。なお肝炎ネットの利用者は、60医療機関から、のべ583 人、新規登録の累計220 人(2002年7月〜2006年6月)となっています。この中にはペグインターフェロン・リバビリン併用療法によりウイルスの陰性化を得た方や、早期の肝がんを完治できた方などがたくさんいます。
ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法を実施する場合、ペグインターフェロンの注射は、最初の2ヵ月については病院で実施しています。その後の注射については、患者さんの希望と診療所の体制に応じて、ケース・バイ・ケースで対応しています。病院で注射を打っている人でも、風邪をひいたときなどは診療所で診てもらうなど、柔軟な対応をしています。



