病診連携レポート Case Study 1【横浜市東部】

病診連携は診療所にとって大きなメリット

語り手
中村医院(横浜市神奈川区)院長
中村 直樹 先生

専門医とコミュニケーションをとることの重要性

開業して十数年になりますが、それまでは公立病院に勤務していました。入院が必要な患者さんは、勤務医時代の人脈でベッドを確保していましたが、異動があるとそれまでの人脈が使えません。診療所の医師は患者さんの入院先を確保しておかねばなりませんから、病診連携は私たちにとって死活問題ともいえるもので、必要に迫られて取り組むことになった課題でした。

患者さんを病院に紹介した際、万一、紹介先の医師の対応に問題があると、患者さんは紹介元である診療所の医師に不信感を持ちます。連携する病院の医師の診療理念、専門性、人柄などを事前に知っておけば、信頼して患者さんを紹介することができます。その意味で「病診連携Wの会」を通じて、専門医の方々と顔を合わせ、コミュニケーションをとることは、診療所の医師にとって非常に大切なことといえるでしょう。

C型肝炎ウイルスキャリアの肝がん発症を防ぐ

当院に通うC型肝炎ウイルスキャリアの患者さんは約20人います。この人たちの肝がん発症を防ぐこと、また万一発がんしてもなるべく早く見つけ、適切な治療をすることが私の役割です。当院では超音波検査を実施していますが、過去の経験から複数の目で画像を確認したほうが、診断精度は高まると考えています。高齢になると、ALTなどの数値が低く、線維化もそれほど進んでいない段階でも、原発性肝がんを発症する例があります。こうした患者さんが存在することを前提に、診療体制を構築しておかねばなりません。

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法の好成績により、インターフェロン治療の適応患者さんはかなり増えたと考えられます。しかし、慢性肝炎を発症していても、自覚症状に乏しいことから、治療に消極的な患者さんが少なくありません。インターフェロン治療が必要だと思われる患者さんを説得する場合も、「私はこう思うが、専門医の意見も聞いてみてください」という形で肝炎ネットを活用しています。最終的に治療の選択や必要な検査の判断などは、専門医にお任せする形です。当院では、インターフェロン(ペグインターフェロン)注射の実施、必要に応じて肝庇護療法の実施、鉄分を控えるための食事指導などを担当しています。

診療所の医師の主体性が、連携を実のあるものにする

病診連携に積極的な開業医群は、地域の中核病院の姿勢を大きく変える力を持っていると思います。診療所としての確固たる理念を病院に提示していくことで、ある程度の時間はかかるでしょうが、連携が実現するようになるでしょう。

現在、私たちの活動は病院と診療所を結ぶ段階から、診療所が中核になって病院と病院を結ぶという、次のステップに入ってきました。一つの病院だけでなく、複数の病院とネットワークを組み、広域でベッドを確保していく。

肝炎ネットについても、もちろん済生会横浜市東部病院・済生会神奈川県病院との連携を重視していますが、それだけでなく、他の病院の専門医とも連携をとって、地域全体の中で患者さんを診ていく姿勢を目指したいと思います。病診連携は病院が音頭をとって進めることが多いのですが、必要に迫られている診療所の医師が主体になって動くことが、連携をより実のあるものにしていくと思っています。

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