病診連携レポート Case Study 2【群馬県】

肝がん撲滅を目指すために必須の病診連携

語り手 群馬大学大学院医学系研究科病態制御内科学 肝臓代謝内科 准教授 高木 均 先生

地域の医師会と連携し、講演会を開催

群馬県では自治体の節目検診などを通して、年間に約1,000 人の新たなC型肝炎患者が見つかっています。しかし、専門医を受診する患者さんの数は、必ずしも多くはありません。C型肝炎のウイルス保持者のうち治療を受けている人の割合は、全国平均で約25%。群馬県においても、この数字に近いと考えられています。

検診の目的はC型肝炎患者の発見だけではなく、その先にある肝硬変、肝がんの撲滅にあります。現状では必要な治療を受けていない人が多く、結果として肝硬変、肝がんを防ぐに十分な体制ではありません。

こうした問題を解決していくためには、患者さんへの啓蒙とともに、プライマリケアを担う診療所の医師と肝臓専門医の連携が不可欠です。そこで群馬県では、地域の中核病院の肝臓専門医が講師となり、地域ごとの医師会と連携して、講演会を開催することにしました。群馬県では医師会が十数カ所に分かれていますが、2006年度はすべての地域で肝炎をテーマにした講演会を開催しました。

正しい情報を伝え、治療への理解を深める

講演会で強調したのは、患者数と治療者数のギャップです。C型肝炎患者の約7割は治療が必要であるにもかかわらず、実際に治療を受けている人たちは、40〜50%にとどまっています(図1)。

とくに問題なのは、治療拒絶例が約20%もあること。これは、これまでのインターフェロン治療が十分な効果をあげることができず、副作用の情報ばかりが、患者さんや診療所の医師の印象に残っているためでしょう。

ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法で、高ウイルス量の人でも2a、2b型なら約90%、1b型でも50〜60%の人が治癒している事実が、診療所の医師に十分に伝わっていません。治療実績が以前とは比べ物にならないくらいよくなっていることを、まず正確に伝える努力が必要です。

図1. C型肝炎患者を前提とした一般的な経過
図1. C型肝炎患者を前提とした一般的な経過

副作用対策も治療の一環と位置づける

患者さんと診療所の医師が一番気にしていることは、副作用の対策です。私は「インターフェロン治療と副作用対策は、C型肝炎治療の車の両輪である」ととらえ、それぞれの対策を示すことにしました(図2)。

どんな副作用があるのか、事前にわかっていること、そしてその対策も具体的に用意されていること。これを明確に示すことが非常に大切です。

またC型肝炎の治療における病診連携は、単に診療所の医師から専門医に患者さんを紹介するためだけのものではありません。インターフェロン注射を診療所で打っていただく場合もあります。ペグインターフェロンの登場で、注射は週1回と以前の週3回に比べて少なくなりました。それでも専門医のいる中核病院に通うのは、患者さんの大きな負担になる場合もあります。

診療所の医師でも副作用の知識を持ち、対応できるということが、病診連携を前進させるうえで大変重要なことといえるでしょう。

図2. IFN副作用対策
・白血球減少: IFN減量、(G-CSF)
・血小板減少: 脾動脈塞栓術(米国TPOアナログ治験進行中)
・貧血(特にrivabirin併用時): リバビリン減量、治療前に貧血改善
(欧米ではEPO治療)
・発熱:各種NSAIDS
・脱毛: 可逆的である=また生えてくる
・倦怠感・うつ状態:  SSRIまたは他の抗うつ薬
・発疹、痒み: 抗ヒスタミン薬、ステロイド剤、経口、塗布
・口内炎: 口内塗布薬、パッチ薬
・眼科合併症: -Peg型では軽度
・甲状腺異常: 抗甲状腺薬、甲状腺末
IFN治療と副作用対策はC型肝炎治療の車の両輪

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